床鳴りの直し方|八千代市で「音だけ止める」前に確かめてほしい4つのこと
歩くたびに、床が「ギシギシ」と鳴る。「キイキイ」という高い音がする。
この症状を検索すると、床鳴り補修剤の商品ページが並びます。数千円で買えて、継ぎ目に注入するだけ。実際、それで音が消えることもあります。
ただ、その前に確かめていただきたいことがあります。床鳴りは、家が出している数少ない警告音でもあるからです。
シロアリに食われた大引きが痩せている。床下で漏水が続いて木が腐っている。地盤が偏って沈んでいる。こうした原因で鳴っている床に補修剤を注入すると、音だけが消えて、原因はそのまま進行します。 発見が遅れたぶん、数十万円で済んだ工事が数百万円になります。
私たちは、おうちの御用聞き 家工房 八千代緑が丘店です。地域密着の事業として活動を続け、地元の沢山のお客様に支持されています。床の張り替え、建付け修理、床下点検口の新設をお引き受けしており、小さなことから大きなことまでお気軽にご相談ください。傷んだ箇所だけの部分張り替えにも対応します。 現場で床下を覗いている立場から、切り分け方をお伝えします。
音を止める前に、危ないかどうかを切り分けてください
先に、判断の材料をお渡しします。次の4つのうち1つでも当てはまる場合、補修剤の使用を見合わせて、床下の調査をご検討ください。
1. 感触の異常。音が鳴るだけでなく、足が沈み込む、ふかふかする、床が抜けそうな感覚がある
2. 場所の偏り。床鳴りがキッチン、洗面所、浴室、トイレなど水回りに集中している
3. 併発する不具合。建具(ドアやふすま)が枠に擦れて開閉しづらい、壁紙にシワや破れがある、基礎コンクリートに斜めのひび割れがある
4. 生物の痕跡。春から夏にかけて羽アリを見た、基礎の周りに土のトンネルのような筋(蟻道)や、六角形の粒状の乾いたフンがある
逆に、この4つがすべて当てはまらないのであれば、多くの場合は表層的な問題です。 記事の後半で、様子を見てよい条件をもう少し細かくお示しします。
以下では、この切り分けの根拠を順にご説明します。
床鳴りには、3つの種類があります
同じ「床鳴り」でも、音の質によって原因が違います。公益財団法人住宅リフォーム・紛争処理支援センターの技術的な整理に沿って分類すると、次の3つになります。
| 種類 | 音の特徴 | 起きていること |
|---|---|---|
| 軋み音 | 「ギシギシ」「ギュギュ」と低く鈍い音 | 根太、大引き、床束といった構造部材の接合部の剛性不足、あるいは部材のたわみ。接着不良や釘・ビスの緩みで隙間が生じ、材同士が擦れている |
| ぶつかり音 | 「コツコツ」「ペチャ」 | 床束が沈下して束石との間に隙間ができ、歩行のたびに部材同士が衝突している。集合住宅の直貼りでは、劣化した接着剤が剥がれては再接着する「ペチャ」音もこれにあたる |
| 擦れ音(実鳴り) | 「キイキイ」「ピシッ」と高く鋭い音 | フローリング材の側面にある凹凸の接合部(実)どうしが、過度に密着または微小に離反した状態で擦れている。木材の含水率の変動が原因 |
このうち、床下で何かが起きている可能性が高いのが「ぶつかり音」です。 床束が沈んでいるということは、その下の地面か束石が動いているということです。「コツコツ」という音が出ている箇所は、後述する不同沈下の初期症状であることがあります。
木は、季節で伸び縮みしています
「夏だけ鳴る」「冬になると鳴り出す」というご相談をよくいただきます。これには物理的な理由があります。
木材の水分状態を示す指標を含水率といいます。含水率が約30%(繊維飽和点)を下回ると、細胞壁の中の水分が蒸発し始め、木材は収縮を開始します。 日本の気候で十分に自然乾燥した木材は、年間を通じて平均約15%(気乾状態)に落ち着きます。
ただし、実際の住宅では一定ではありません。夏の高温多湿、冬の低温乾燥、そして空調や床暖房の稼働によって、室内の木材の含水率は季節や生活習慣に応じて数パーセントの幅で絶えず変動しています。
そして、木の収縮には強い方向性があります。
| 収縮の方向 | 収縮率の目安(含水率1%の変化あたり) | 影響 |
|---|---|---|
| 接線方向(板目) | 約0.2%〜0.4%(最も大きい) | 幅広の無垢フローリングで、数ミリ単位の目隙や反りを生む主因になる |
| 放射方向(柾目) | 板目方向の約半分 | 板目材より寸法は安定しているが、一定の伸縮は伴う |
| 繊維方向(長さ方向) | 横方向の10分の1以下 | ほぼ無視できる |
具体的に計算してみます。幅100ミリメートルの板目材の場合、冬の過乾燥で含水率が3パーセント下がると、幅は0.6ミリメートルから1.2ミリメートル収縮します。
この数ミリの変化が、隣の床材との干渉を生み、固定している釘との間に「遊び」を作ります。結果として、冬は隙間が空いて釘鳴りが起き、夏は膨張して実どうしが押し付け合い、キイキイという擦れ音を生みます。 季節で音が変わるのは、床が壊れかけているからではなく、木が正常に呼吸しているからです。
築年数によって、床鳴りの意味が変わります
同じ音でも、家の年齢で重さが違います。
新築から築10年以内の住宅で起きる床鳴りの大部分は、建築時の木材がその環境に馴染む過程で生じる初期乾燥収縮や、荷重に対する部材の初期なじみによるものです。接着剤の塗布ムラや釘の打ち損じといった施工精度の問題が出ることもあります。多くの場合、構造的な危険を伴わない表層的な問題です。
築20年から40年の住宅は、事情が変わります。接着剤の化学的な寿命による合板の層間剥離、長年の歩行荷重による根太や大引きの痩せとたわみが常態化しています。そして、ここが重要です。
シロアリ被害、木材の腐朽、地盤の不同沈下といった構造体の致命的な欠陥が水面下で進行した結果として床鳴りが生じているケースが、飛躍的に増えます。
八千代市は、高度経済成長期から平成期にかけて段階的に宅地化が進みました。八千代台団地や村上団地のように築50年を超えるものから、平成に入ってからの分譲地まで幅があり、築20年超から築60年級までの木造戸建てと団地が混在しています。 接着剤の寿命、シロアリ防除剤の有効期限の超過、給排水管の老朽化が、同じ時期に一斉に表面化する段階にあたります。
危ない床鳴り、4つのパターン
構造に関わる床鳴りを、原因ごとに見ていきます。
1つ目:シロアリの食害
シロアリは光と風を嫌い、木材の内部を食い進みます。ですから被害が表に出にくく、土台や大引き、根太が食われても、外見は原型を保ったまま内部が空洞になります。
空洞化した部材が歩行荷重を支えきれなくなると、床が過度にたわみ、「ギシギシ」「ミシミシ」という重い軋み音が出ます。
見分ける手がかりは2つあります。羽アリの群飛と、蟻道です。
| 種類 | 羽アリの時期 | 時間帯 | 特徴 |
|---|---|---|---|
| ヤマトシロアリ | 4月下旬〜5月 | 昼間(10時〜14時頃) | 体色は黒褐色。湿った木材を好み、床下や水回りの下部を食害する |
| イエシロアリ | 6月〜7月 | 夕方〜夜間 | 体色は黄褐色。自ら水を運ぶ能力があり、乾いた木材や家屋の上層部まで被害が及ぶ。光に集まる |
| アメリカカンザイシロアリ | 6月〜9月 | 昼間 | 赤褐色から黒褐色。乾いた木材に生息する外来種。被害箇所から六角形の粒状の乾いたフンを出す |
春から梅雨時にかけて、室内や玄関周辺で大量の羽アリや、抜け落ちた羽を見つけた場合、すでに床下で巣が大規模に発達している証拠です。
もう1つの蟻道は、基礎のコンクリート表面や束石にできる、土のトンネルのような筋です。これが伸びていれば、シロアリが床下へ侵入している確かなサインです。
羽アリまたは蟻道と、床鳴りが同時に起きている場合、構造が崩れる危険は極めて高い状態です。
2つ目:木材腐朽菌
シロアリと並んで木造住宅を脅かすのが、木材腐朽菌です。表面のカビとは違い、木材の強度を支えているセルロースやリグニンそのものを分解します。
森林総合研究所などの研究に基づく知見では、木材腐朽菌が活発に繁殖を始める閾値は、木材の含水率が20%から25%を超えた状態とされています。建築用木材の基準含水率(15%から20%以下)が保たれていれば腐朽は進みませんが、床下の換気不良や結露で高湿の状態が続くと、土台や大引きが腐ってスポンジ状になります。
こうなると、床は音を立てる前に沈みます。「ギシギシ」という軋み音に加えて、踏んだときにふかふかする感触が出てきたら、腐朽を疑ってください。 シロアリの食害と症状がよく似ており、実際に両方が同時に起きていることもあります。
3つ目:床下の漏水
キッチン、洗面所、トイレなど、水回りに限って重度の床鳴りや「ふかふか」した沈み込みが出る場合、床下の給排水管の接続不良や経年劣化による微小な漏水が疑われます。
漏水は、床下の土壌と木材に水分を供給し続けます。つまり、先ほどの「含水率20%から25%を超えた」環境を恒常的に作り出します。 これによって、木材腐朽菌の繁殖とシロアリの誘引という二重の被害が、急速に進みます。
判断の目安をお伝えします。床鳴りする箇所を踏み込んだときに、床下からカビの臭いや湿った空気が押し出されてくるようなら、漏水を疑ってください。 床下点検口や床下収納があれば、そこから覗いて確認できます(点検口がないお宅も多く、その場合の対応は後ほどご説明します)。
4つ目:基礎や地盤の不同沈下
家屋が均等にではなく、一方向に偏って沈む現象を不同沈下といいます。建物の骨組み全体に歪みやねじれが生じ、その力が床組に伝わることで、広範囲にわたる床鳴りや軋み音が起きます。先ほどの「コツコツ」というぶつかり音は、床束が沈み始めた初期のサインにあたります。
住宅の品質確保の促進等に関する法律(品確法)に基づく技術的基準等では、床の傾きによる構造的な瑕疵の可能性が、次の数値を目安に判断されます。
| 床の傾斜勾配 | 瑕疵が存在する可能性 | 居住者への影響の目安 |
|---|---|---|
| 1000分の3未満 | 可能性は低い | 自覚症状なし |
| 1000分の3〜1000分の6未満 | 一定程度存在する可能性がある | 傾斜を感じる、不同沈下を意識し始める |
| 1000分の6以上 | 可能性が高い | めまい、頭痛、体が引っぱられる感じ、ふらつきなど、生活に支障をきたす |
1メートルにつき6ミリメートル以上の傾きは、建物の構造耐力に重大な疑いを生じさせるだけでなく、居住者の平衡感覚にも影響します。
床鳴りに加えて、次の症状が同時に出ていれば、床材の不具合ではなく地盤や基礎の異常を疑ってください。
- 建具(ドアやふすま)が枠に擦れて開閉しづらい
- 外壁や基礎コンクリートに斜めのひび割れが入っている
- 床に置いたビー玉などの球体が、自然に転がる
3つ目は、どなたでもその場で試せる確認方法です。
ご自宅が台地の上か、谷津を埋めた土地かを確かめてください
ここからは、八千代市にお住まいの方に固有の話をします。
八千代市を含む千葉県北西部の地形は、2つの要素でできています。
1つは、関東ローム層(火山灰土)からなる標高の高い平坦な「下総台地」です。比較的強固な地盤で、地震の揺れに強く、液状化のリスクも低いとされ、住宅建築に適した安定したエリアにあたります。
もう1つは、その台地を河川や湧水が長い年月をかけて浸食して形成された「谷津(谷底低地)」です。樹枝状に入り組んだこの地形は、かつて水田や湿地として使われていました。
問題は、高度経済成長期の急速な宅地開発です。これらの谷津を土砂で埋め立てて造成したエリア(大規模盛土造成地)が、市内に多数存在します。
こうした場所の地中には、水分を多く含んだ軟弱な腐植土が堆積していることが多く、建物の重量によって長期間かけて地盤が沈む「圧密沈下」が起きやすくなります。 これが不同沈下となって建物を傾かせ、床下に歪みを生んで重度の床鳴りを引き起こします。
ご自宅が、台地本来の固い地盤の上にあるのか、かつての谷津を埋め立てた地盤の上にあるのか。ハザードマップや旧版地形図でご確認ください。 床鳴りの原因を推し量る材料になりますし、防災の観点でも役に立ちます。
千葉県のシロアリは、99%以上がヤマトシロアリです
シロアリについても、地域の実態をお伝えします。
ヤマトシロアリは千葉県内のほぼ全域に生息し、県内のシロアリ被害の99%以上を占める土着種です。 4月下旬から5月にかけて羽アリとなって群飛します。八千代市の木造戸建てで、床鳴りの原因として最も警戒すべき相手です。
イエシロアリは寒さに弱く、従来は木更津市や館山市など県南部の温暖な沿岸地域を分布の北限としてきました。八千代市のような内陸部での被害は限定的と考えられますが、近年の気候変動による生息域の拡大には注意が要ります。
そして、もう1種類、知っておいていただきたい種があります。
アメリカカンザイシロアリです。 北米原産の外来種で、千葉県内では市川市や船橋市など、八千代市に近接する北西部エリアで局地的な定着と被害が報告されています。
この種が厄介なのは、侵入経路が違うことです。乾燥した木材を好み、土壌からではなく飛来して屋根裏や壁内の木材に直接巣を作ります。 そのため、床下から薬剤を散布する従来のバリア工法では防げません。 六角形の粒状の乾いたフンが落ちていたら、この種を疑ってください。
補修剤で音だけ止めると、何が起きるか
ここが、この記事で最もお伝えしたい部分です。
具体的な流れで説明します。
シロアリの食害によって大引きが痩せ、床材がたわんで軋み音が出ている。 ここに、市販のウレタン系注入剤やエポキシ樹脂を隙間に充填したとします。
樹脂が硬化して、床材が一時的に固定されます。音は消えます。 「自分で直った」と安心されるでしょう。
しかし床下では、シロアリによる構造破壊が何の妨げもなく進行し続けます。 音という警告が消えたぶん、次に異変に気づくまでの時間が延びます。
そして数年後、台風や地震のときに、弱くなった土台が崩れます。本来であれば数十万円の防除・補修工事で済んだものが、数百万円規模の構造改修工事になります。
音を消すことと、直すことは、まったく別の行為です。 冒頭の4つのチェック項目を先にご確認いただきたいのは、このためです。
張り替えずに直す壁紙の補修に関して詳しく解説した記事はこちらです。
【八千代市の壁紙補修】冬の乾燥で剥がれたクロス、張り替えずに直せます!小さな補修も家工房にお任せ
市販の補修剤の種類と、使いどころ
そのうえで、表層的な床鳴りに対する補修剤の使い方をお伝えします。
| 種類 | 効く原因 |
|---|---|
| 潤滑剤タイプ | 実どうしが強く擦れて生じる「キイキイ」という摩擦音。シリコンやロウ成分を継ぎ目に浸透させ、摩擦を減らす |
| 接着剤タイプ(アクリル樹脂、木工用ボンドなど) | フローリング材と下地合板の間に微小な隙間や浮きがある場合。細いノズルや注射器型の器具で隙間に注入し、硬化させて再固定する |
| エポキシ樹脂注入タイプ | より広い隙間やえぐれ傷の補修、強力な固定が必要な場合。2液を混合して硬化させる |
手順はこうです。音が鳴る箇所を足で踏んで特定し、フローリングの継ぎ目に沿って極細のノズルや針で補修剤を少しずつ流し込みます。注入後はすぐに、表面にはみ出した液を濡れ雑巾で拭き取り、24時間程度は荷重をかけずに硬化させます。
最も失敗しやすいのが、はみ出した補修剤の拭き残しです。 接着剤やエポキシ樹脂がフローリングの表面で硬化すると、専用の溶剤なしには除去できません。無理に剥がそうとすると、床材表面の化粧シートごと剥がれて、見た目を大きく損ねます。
ビス止めは、床暖房のパイプを貫通させることがあります
床材の浮きが大きい場合、上から隠し釘やスリムビスを打ち直して、床材を根太に引き寄せる方法があります。ただし、この方法には重大なリスクがあります。
やってはいけないのは、次の場合です。
- 床下に温水式床暖房のパネルが敷設されている
- 給水管・給湯管、電気配線が床下地の間を通っている
床鳴りを止めるために打った数センチのビスが、床暖房の温水パイプを貫通してしまう事故が報告されています。 配管を破損させれば、階下への漏水被害を引き起こすだけでなく、床材と床暖房パネルを広い範囲で解体・交換することになります。数千円を節約するつもりの作業が、桁違いの修繕費を生みます。
下地センサーにも、限界があります
ビスを打つ際、床下に隠れた根太(幅45ミリメートル程度の木材)を探すために「下地センサー」を使います。細い針を刺して抵抗を感じ取る針式と、表面に当てて密度の変化を感知する電子式があります。針式は床材に穴が残るため、仕上がった床では使いにくいという難点があります。
ただし、床における精度には明確な限界があります。 床板が厚い合板の二重張りになっている場合や、床下断熱材が根太の間に密着して施工されている場合、電子式センサーは密度の変化を正確に捉えられず、誤作動を起こしやすくなります。
正確な位置を把握できないままビスを打てば、根太を外して中空部分に突き抜ける「空打ち」となり、床材に無数の穴を開けるだけで終わります。
賃貸にお住まいなら、ご自分で直さないでください
賃貸住宅の場合、判断が変わります。
国土交通省が定めた「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」によれば、経年劣化や自然損耗によるフローリングの不具合の修繕義務は、原則として貸主(オーナー)にあります。 フローリングの部分補修や張り替えについては、毀損箇所を含む1平方メートル単位での張り替えが目安とされています。
ところが、借主が管理会社に無断で接着剤を注入して汚損させたり、ビスを打って床材や下地を破壊したりした場合、「善管注意義務違反」または「通常の使用を超える損耗」とみなされます。
本来なら貸主の負担で直すべき自然な床鳴りだったにもかかわらず、借主の過失による毀損として、高額な原状回復費用を請求されるという結果になります。
賃貸住宅の不具合は、まず貸主または管理会社へご報告ください。 これが鉄則です。
専門業者に頼んだ場合の工法と費用
原因が分かった場合の、補修方法と費用の目安です。以下は一般的な市場の相場で、当店の料金ではありません。
| 工法 | 適用する場合 | 費用の目安 | 工期 |
|---|---|---|---|
| 注入工法 | 床材の表面的な浮きや隙間が原因。専用の樹脂を機材で注入して再固定する | 1.5万円〜3万円程度 | 半日〜1日 |
| 床下からの補強 | 束の浮きや根太の隙間が原因。床下に入り、鋼製束の高さ調整やクサビ・接着剤で部材間を補強する | 2万円〜5万円程度 | 半日〜1日 |
| 床材の部分張り替え | 特定箇所の床材破損、局所的な接着不良や腐朽がある場合 | 3万円〜10万円程度 | 1日〜2日 |
| 全面張り替え・根太補強 | 部屋全体の合板の層間剥離、大引きや根太の広範な強度低下がある場合 | 10万円〜数十万円(面積による) | 数日〜1週間程度 |
もう1つ、見落とされがちな費用があります。業者が床下に入って調査や補強を行うには、「床下点検口」が必要です。
点検口や床下収納がないお宅では、作業の第一歩として、押し入れや洗面所の床をノコギリで開口し、新たに点検口枠を設置する工事が必要になります。この新設費用の相場は、1箇所あたりおおむね3万円から5万円程度です。
「床下を見てもらいたい」というご相談で、まずここから始まることがあります。あらかじめ知っておいていただくと、見積もりを見たときに驚かずに済みます。
シロアリ防除の相場と保証
シロアリが見つかった場合の費用もお伝えします。
公益社団法人日本しろあり対策協会に加盟する業者の標準的な相場は、バリア工法(液剤散布)で1坪あたり約6,000円から10,000円です。ここでいう坪数は延床面積ではなく、薬剤を撒く1階部分の床面積で計算します。施工面積が18坪から30坪程度の一般的な一戸建てで、総額はおおむね11万円から30万円が目安になります。
そして、使用される認定薬剤の効果持続期間に基づき、防除工事には通常5年間の保証が付きます。この保証には、期間内に再発した場合の無償再処理や、再発によって家屋に損害が生じた場合の修復費用の補償が含まれることが多くなっています。
逆に言えば、極端に安い坪単価を提示する業者には注意が必要です。 薬剤を注入するための穴あけ(穿孔)処理を省いていたり、保証が一切付いていなかったりすることがあります。見積もりの内訳と保証内容を、必ずご確認ください。
品確法の10年保証に、床鳴りは含まれません
新築の場合について、誤解の多い点をお伝えします。
新築住宅を建築・購入した場合、品確法に基づいて引き渡しから10年間の瑕疵担保責任が売主や施工者に義務づけられています。
ただし、この法律が保護する対象は「構造耐力上主要な部分」および「雨水の浸入を防止する部分」に厳格に限定されています。
「構造耐力上主要な部分」とは、基礎、柱、壁、大引き、小屋組など、建物の荷重を支え外力に耐える骨格部分です。したがって、木材の乾燥収縮による実鳴りや、フローリング材の接着不良といった表層的な床鳴りは、構造上の瑕疵に該当せず、10年保証の対象外と判断されるのが通例です。
例外は、床鳴りの根本原因が大引きの破断や基礎の不同沈下など、明確な構造耐力上の欠陥にあると証明された場合です。 このときに限り、売主や施工者に補修が義務づけられ、住宅瑕疵担保責任保険の対象になります。
冒頭の4つのチェック項目は、この線引きにも関わってきます。
床下の湿気を防ぐ
予防の話に移ります。
建築基準法施行令第22条では、木造住宅における床下の防湿対策として、基礎の壁の長さ5メートル以下ごとに、面積300平方センチメートル以上の換気孔を設けることが義務づけられています。
ところが実際には、この換気口が塞がれているお宅が少なくありません。エアコンの室外機、大量のプランター、不要なタイヤ。 悪気なく置いたものが換気口の前を覆うと、床下の空気が滞留して湿度が上がります。
そのほか、床下の湿気を高める要因を挙げます。
- 敷地全体の水はけが悪く、雨水が基礎の周りに滞留しやすい
- 建物の基礎が低く、地面からの水蒸気の影響を受けやすい
- 周辺の植栽が過密で、日当たりと風通しが妨げられている
- 雨樋が破損しており、屋根からの雨水が直接基礎の足元に集中して流れ込んでいる
最後の1つは、意外な盲点です。 雨樋の不具合が、床下の湿気を通じて床鳴りにつながります。私たちが雨樋修理をお引き受けするとき、地面の状態も一緒に見ているのはこのためです。
対策の効き方には差があります
床下の湿気対策として売られているものについて、効果を整理します。
- 防湿シート(ポリエチレンフィルムなど):地面から立ち上がる水蒸気を物理的に遮断します。床下の地面が土のままの住宅では、極めて高い防湿効果を発揮します
- 床下調湿材(ゼオライト、シリカゲル、炭など):湿度が高いときに水分を吸い、乾燥時に放出して湿度を平準化します。ただし、換気口が開いている自然換気の床下では、外部の湿った空気が常に流入するため飽和しやすく、空間全体の湿度を恒久的に下げる効果は得られにくいと指摘する専門家の見解もあります
- 床下換気扇:空気を強制的に排出して循環を作ります。ただし、水分の供給源が絶たれていない状態では逆効果になるリスクがあります
3つ目について、実際の失敗例をお伝えします。浴室の換気ダクトにひび割れや漏水がある状態で床下換気扇を稼働させたところ、負圧によって浴室の大量の湯気を床下全域に引き込んでしまい、敷き詰めた調湿材が水浸しになって木材腐朽菌を大繁殖させたという事例が報告されています。
漏水などの根本原因を放置したまま換気扇を入れても、問題は解決しません。 順序が逆になっています。
日常でできること
- 冬に暖房を使う際は、加湿器を併用して室内の湿度を50%から60%程度に保つ。空気が乾きすぎると床材が縮み、目隙や釘鳴りが起きます
- 水拭きのしすぎを避ける。空気の湿度とは別の話で、継ぎ目から直接水分が入ると木材が膨張し、接着剤の劣化を早めます
空気は適度に湿らせ、床には直接水をかけない。 この2つは別のことを言っています。
- ピアノや大型の本棚といった重い家具は、厚手の合板を敷いて荷重を分散させる(根太の位置は専用の機材でも正確には割り出せないため、合板で面に逃がすほうが確実です)
ご高齢の親御さんの家では、床鳴りが転倒につながります
最後に、命に関わる話をひとつ。
厚生労働省の人口動態統計によれば、65歳以上の方が不慮の事故で亡くなる原因のうち、「転倒・転落・墜落」による死亡者数は年間約1万人前後に達しています。これは全年齢の交通事故による死亡者数の約4倍から5倍にあたります。
では、どこで転んでいるのか。ここからは別の統計になりますが、東京消防庁の「令和6年中 日常生活事故発生状況」の救急搬送データが、住宅内で「ころぶ」事故の発生場所を示しています。
| 発生場所 | 高齢者の救急搬送人員(令和6年中・東京消防庁管内) |
|---|---|
| 1位 居室・寝室等 | 29,783人 |
| 2位 玄関・勝手口等 | 3,900人 |
| 3位 廊下・縁側・通路 | 2,653人 |
| 4位 トイレ・洗面所 | 1,229人 |
注目していただきたいのは、日常的に最も長い時間を過ごす、平らなはずの「居室・寝室」が突出して多いという事実です。 なお階段からの転落は「おちる」事故として別に集計されるため、この表には現れません。危険な場所を警戒するだけでは足りず、いちばん長くいる部屋の床が問題になります。
床鳴りが出ている箇所は、歩行時にたわんでいるか、木材の変形によって数ミリの段差ができていることが多くなります。ご高齢の方は、加齢による筋力低下とバランス感覚の衰えから、足先が上がらず「すり足」気味に歩きます。
若い方なら無意識に補正できる程度の、床のわずかな沈み込みや数ミリの引っかかりが、ご高齢の方にとっては致命的なつまずきになります。 家庭内での転倒は、大腿骨頸部骨折などを引き起こし、そのまま寝たきりの状態へ移行する直接の原因になります。
気づかれないまま放置される、2つの理由
ご高齢の方だけのお宅では、床鳴りが長く放置されがちです。理由が2つあります。
1つ目は、聴力です。 「キイキイ」という高い音は、加齢に伴って極めて聞き取りにくくなります。ご本人が異音に気づいていないケースが多くあります。
そして、ここが大切な点です。耳で聞き分けられないなら、足の裏で確かめるしかありません。 危険なほうの軋み音やぶつかり音は低い音ですが、そちらは音より先に「沈み込み」として足に伝わります。次にご説明する方法が有効なのは、このためです。
2つ目は、心理です。 「家が古いから鳴って当たり前だ」と考えて自己正当化されること、そして業者を呼ぶことによる高額な請求や悪質なリフォーム業者への恐怖心から、見て見ぬふりをされることがあります。
帰省されたら、すり足で歩いてみてください
ですから、遠方にお住まいのご家族が帰省された際に、「床が鳴ったり沈んだりしていない?」と口頭で尋ねるだけでは足りません。 ご本人が気づいていないのですから、答えは「大丈夫」になります。
ご家族ご自身が、親御さんの動線を意図的にすり足で歩いてみてください。 寝室からトイレへの廊下、キッチンのシンクの前、居間の中央。足の裏で、沈み込みや軋みを感じ取る。 これが、実家の見守りと転倒予防において、最も確実にサインを見つける方法です。
数分で終わります。そして、その数分が寝たきりを防ぐことがあります。
ご高齢の方の転倒防止と手すりの後付けに関して詳しく解説した記事はこちらです。
【八千代市】手すり後付けの料金相場は?トイレ・浴室・玄関の転倒防止を「手すり1本」からプロに頼むべき理由
こういう場合は、まだ様子を見て大丈夫です
急がなくてよい場合をお伝えします。
- 音が「キイキイ」という高く鋭い擦れ音で、季節によって出たり消えたりする
- 踏んでも床が沈み込まず、しっかりした感触がある
- 水回りに集中しておらず、居室で局所的に鳴っている
- 建具の開閉に支障がなく、壁紙にシワや破れもない
- 春から夏に羽アリを見ていない。基礎の周りに土のトンネル(蟻道)や、六角形の粒状の乾いたフンがない
- 基礎コンクリートに斜めのひび割れが入っていない
- 床にビー玉を置いても、自然に転がらない
この7つが当てはまれば、木材の含水率の変動による実鳴りである可能性が高い状態です。 市販の潤滑剤タイプの補修剤で対処して差し支えありません。冬に音が出るタイプであれば、加湿器で室内の湿度を保つだけで軽くなることもあります。
新築から10年以内であれば、なおのこと、初期のなじみによる音である公算が高くなります。
よくあるご質問
床鳴りは放っておいても大丈夫ですか
原因によります。 木材の乾燥収縮による実鳴りであれば、構造上の心配はほぼありません。ただし、足が沈む、水回りに集中している、建具の開閉や壁紙・基礎に異常がある、羽アリや蟻道を見た。このいずれかが当てはまる場合は、シロアリ、腐朽、漏水、不同沈下といった構造的な問題が進行している可能性があります。 音を止める前に、床下を確認してください。
市販の補修剤で直りますか
表層的な床鳴りであれば直ります。 実どうしの摩擦音には潤滑剤タイプ、床材と下地の浮きには接着剤タイプが有効です。ただし、構造的な原因で鳴っている床に使うと、音という警告だけが消えて原因が進行します。 数十万円で済んだはずの工事が、数百万円規模になりかねません。使う前に、危険なサインがないかをご確認ください。
床がふかふかします。どうすればいいですか
補修剤では対処できません。 沈み込む感触は、下地の合板や根太、大引きが強度を失っている状態を示します。シロアリの食害、木材腐朽菌による腐朽、床下の漏水が疑われます。とりわけ水回りに集中している場合は、床下の漏水の可能性が高くなります。 床下点検口から確認するか、専門の調査をご依頼ください。
床の傾きは、どのくらいから問題ですか
1メートルにつき6ミリメートル(1000分の6)以上の傾きは、構造上の瑕疵が存在する可能性が高いとされ、めまいや頭痛など生活への支障も出る水準です。1000分の3未満であれば可能性は低いとされます。ご自宅で確かめる簡単な方法として、床にビー玉を置いてみてください。 自然に転がるようであれば、傾きが出ています。
賃貸ですが、自分で補修していいですか
貸主または管理会社へご報告ください。 経年劣化によるフローリングの不具合の修繕義務は、原則として貸主にあります。無断で接着剤を注入したりビスを打ったりすると、善管注意義務違反とみなされ、本来は貸主負担だったはずの修繕費用を請求されるトラブルに発展します。
実家の親が「大丈夫」と言うのですが、心配です
ご自身の足で確かめてください。 実鳴りの高い音は加齢によって聞き取りにくくなるため、ご本人が気づいていないことが多くあります。帰省された際に、寝室からトイレへの廊下、キッチンのシンク前などをすり足でゆっくり歩いてみてください。 足の裏で沈み込みや軋みを感じ取るのが、最も確実な確認方法です。
まとめ:床鳴りは、家からの報告です
この記事の要点を整理します。
- 床鳴りには軋み音、ぶつかり音、擦れ音の3種類があり、原因が異なる
- 木材の含水率は季節で数パーセント変動し、幅100ミリメートルの板は1ミリメートル前後伸縮する
- 築10年以内の床鳴りの多くは初期乾燥収縮で、構造的な危険は伴わない
- 築20年から40年の床鳴りは、シロアリ・腐朽・不同沈下のサインである場合が増える
- 危険を切り分ける手がかりは、沈み込む感触、水回りへの集中、建具の不具合、羽アリと蟻道
- 木材腐朽菌は、含水率20%から25%を超えると活発に繁殖する
- 1000分の6以上の傾きは、構造的な瑕疵の可能性が高い
- 八千代市には谷津を埋め立てた造成地が多く、圧密沈下による不同沈下が起きやすい
- 千葉県のシロアリ被害の99%以上がヤマトシロアリ。羽アリは4月下旬から5月の昼間に飛ぶ
- 補修剤で音だけ止めると、構造破壊の進行が隠れる
- 床暖房や配管がある床にビスを打つと、パイプを貫通させる事故が起きる
- 品確法の10年保証に、表層的な床鳴りは含まれない
- 高齢者が住宅内で「ころぶ」事故は、居室・寝室が突出して多い
床が鳴るということは、家がまだ知らせてくれているということです。 その音を薬で止める前に、何を知らせているのかを聞いてください。築10年以内であれば、多くの場合は木の伸縮による音です。 一方、築20年を超えたお宅では、構造に関わるサインである割合が上がります。どちらであっても、早く確かめるほど選べる手が多く残ります。
おうちの御用聞き 家工房 八千代緑が丘店では、床の張り替え(部分的な張り替えを含む)、建付け修理、床下点検口の新設、雨樋修理までをお引き受けしています。料金は一律の目安ではなく、現地を拝見したうえでのお見積もりを徹底しております。
「補修剤で直していいものかどうか、見てほしい」というご相談で構いません。 見たうえで「これは補修剤で十分です」とお伝えすることも、しばしばあります。
なお、シロアリの防除工事は当店では行っておりません。 床下で蟻道や食害が見つかった場合は、日本しろあり対策協会に加盟する防除業者をご案内します。床材の張り替えや下地の補修は、防除が済んだあとに私たちがお引き受けします。
フリーダイヤル 0120-197-899、電話一本で八千代市内へ駆けつけます。
お電話でのご相談のほか、インターネットからのお問い合わせは24時間受け付けております。お急ぎでない方はこちらもご活用ください。
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