天井裏でドスドス音がしたら|八千代市のハクビシン・ネズミ対策と、追い出したあとの本当の工事
夜中に、天井の上で何かが走る音がする。
ネズミにしては重い。「ドスドス」「ドタドタ」と、天井板がきしむような音が響く。しばらくすると、押し入れの天井に見慣れない茶色いシミが浮いてくる。玄関を開けたときに、カビとは違う、ツンとしたアンモニアの臭いを感じるようになる。
秋から冬にかけて、こうしたご相談が増えます。野生動物が、風雨をしのげる暖かい場所を探して家屋へ入り込む時期だからです。
そしてこの問題には、多くの記事が書いていない後半戦があります。追い出したあとの、封鎖と清掃と復旧です。 動物を外へ出しただけでは、住まいは元に戻りません。むしろ、そこからが本番です。
私たちは、おうちの御用聞き 家工房 八千代緑が丘店です。地域密着の事業として活動を続け、地元の沢山のお客様に支持されています。住まいのお困りごとをお引き受けしており、小さなことから大きなことまでお気軽にご相談ください。捕獲は資格と許可が要る作業ですので、私たちが行うことはできません。 そのうえで、この記事では正しい手順と、頼み先の分け方をお伝えします。
無許可でご自身が捕まえることは、法律で禁じられています
まず、法律の話をします。
鳥獣保護管理法第8条は、こう定めています。
> 鳥獣及び鳥類の卵は、捕獲等(捕獲又は殺傷をいう。以下同じ。)又は採取等(採取又は損傷をいう。以下同じ。)をしてはならない。
原則として、すべての野生鳥獣の捕獲や殺傷が禁止されています(環境衛生に支障を及ぼす一部のネズミ類は除かれます)。捕獲を行う場合には、同法第9条に基づく都道府県知事等からの許可が必要です。
罰則もあります。同法第83条第1項第1号により、第8条に違反して狩猟鳥獣以外の鳥獣の捕獲等をした者は、「1年以下の拘禁刑又は100万円以下の罰金」に処されます。
アライグマの場合は、さらに重くなります。 アライグマは外来生物法上の「特定外来生物」に指定されており、同法第4条により飼養、栽培、保管、運搬が原則禁止されています。生きたアライグマを許可なく捕獲して自家用車で運んだり、別の野外へ放したりする行為は違法です。 許可なく野外に放った場合などには、最大で「3年以下の拘禁刑若しくは300万円以下の罰金」が科されます。
なお、ハクビシンは国内では外来種と考えられているものの、現時点で特定外来生物には指定されていません。ただし鳥獣保護管理法の保護対象であることに変わりはなく、捕獲や殺傷には許可が必須です。
「追い出す」ことは、許可なしでできます
できることは、あります。線引きを押さえておいてください。
先ほどの条文のとおり、鳥獣保護管理法は「捕獲等」を「捕獲又は殺傷」と定義しています。したがって、罠にかける、網で捕らえるといった身体的な拘束や傷害を伴わず、光、音、忌避剤のにおいなどを使って動物を自発的に家の外へ「追い出す」行為は、「捕獲等」に該当せず、許可は不要と解されています。
ただし、ここに落とし穴があります。追い出しの過程で過度な打撃を加えて負傷させたり、屋根裏に閉じ込めて餓死・衰弱死させたりした場合は「殺傷」とみなされ、法令違反に問われます。
つまり、善意で侵入口を塞いだ結果、中に取り残された動物が死ねば、法律上の「殺傷」にあたる可能性があります。 ここが、後ほどお伝えする「時期を間違えてはいけない」という話につながります。
八千代市では、市が箱わなを設置します
自治体の制度についても、正確にお伝えします。ここは誤解の多いところです。
八千代市の公式の案内には、こう書かれています。
> アライグマまたはハクビシンによる被害が発生しているところに箱わなを設置し、捕獲しています
箱わなを住民が借りて、自分で仕掛ける制度ではありません。市が設置し、市が捕獲します。 「市から箱わなを借りられる」という説明を見かけることがありますが、八千代市の制度は違います。
市による箱わなの設置を希望される場合の窓口は、被害の種類で分かれます。
| 被害の種類 | 窓口 | 電話番号 |
|---|---|---|
| 生活被害(住宅への侵入など) | 経済環境部 環境政策課 環境共生班 | 047-421-6765 |
| 農業被害 | 農政課 | 047-421-6764 |
なお、家庭菜園での被害は、この制度の対象から除かれます。
また、ご自身で捕獲を行いたい場合は、別途許可の申請が必要です。千葉県では、学術研究以外の目的による野生鳥獣の捕獲許可申請は、捕獲場所を管轄する地域振興事務所が窓口となります。八千代市の管轄は「千葉県 葛南地域振興事務所」(船橋市本町1-3-1、電話 047-424-8092)です。
千葉県は、アライグマの完全排除を目標にしています
背景も知っておいてください。千葉県内において、アライグマは県内のほぼ全域に分布・定着しています。
千葉県が策定した「千葉県アライグマ防除実施計画」によれば、アライグマによる農作物被害は年間で2,000万円を超え、家屋への侵入などによる生活環境被害も多発しています。 同計画は八千代市を含む千葉県全域を対象区域に指定し、最終目標として「県内の野外からの完全排除」を掲げて捕獲圧の強化を進めています。
千葉県全体では、イノシシやニホンジカを含む野生鳥獣による農作物の被害額が、令和6年度の統計で約3.6億円にのぼります。
ハクビシンについても、八千代市は公式に「生活被害」として認識しています。 住宅地の天井裏への侵入と糞尿被害は、この地域の日常的な課題です。
何がいるのかは、音と糞で分かります
対処法は動物によって変わりますので、まず種類を特定します。
音とリズムで見分ける
| 動物 | 音の特徴 | 時間帯 |
|---|---|---|
| ネズミ類 | 「カリカリ」「カサカサ」と軽く小さな音が連続する。壁の内部や天井板の上 | 夜間 |
| イタチ | 「トトトッ」と速いリズムで駆け回る音。ネズミより重い | 夜間 |
| ハクビシン・アライグマ | 「ドスドス」「ドタドタ」と、天井板がきしむような重く大きな足音 | 深夜が中心 |
| アブラコウモリ | 歩く音より「パタパタ」「バサバサ」という羽ばたき音。壁の隙間や換気口付近 | 日没前後と明け方 |
冒頭の「ドスドス」という音は、体重が数キログラムに達する動物の足音です。ハクビシンで約3〜4キログラム、アライグマで約5〜7キログラムありますから、天井板の上を歩けば、はっきり聞こえます。
糞は、最も有力な物的証拠です
種類の特定には、糞を見るのが確実です。
- ハクビシンとアライグマ:ねぐらの特定の一角に繰り返し排泄する「ためふん」という習性があります。ハクビシンの糞は数センチ程度の円筒形で、雑食性を反映して果実の種子が含まれていることが多くなります。アライグマの糞も同じ場所に蓄積し、強烈な悪臭を放ちます。そして致命的な寄生虫の卵が含まれるリスクが極めて高いという特徴があります
- ネズミ類:移動しながら排泄するため、米粒から1センチメートル程度の細長く黒い乾いた糞が、通り道に沿って点々と撒き散らされます
- アブラコウモリ:5〜10ミリメートル程度の黒い粒状で、ネズミの糞に似ています。ただし主食が昆虫なので未消化の殻が含まれており、乾いてパサパサと軽く、触るとすぐ崩れます
足跡でも分かります。アライグマは5本指で、人間の子どもの手のような明瞭な足跡を残します。ハクビシンも5本指ですが、丸みを帯びています。
どこから入られているか
侵入できる隙間の大きさも、種類によって違います。
| 動物 | 侵入できる隙間 |
|---|---|
| ネズミ類 | 約1.5センチメートル(1円玉が入る程度) |
| アブラコウモリ | 約1〜2センチメートル |
| イタチ | 約3センチメートル四方 |
| ハクビシン | 約6〜7センチメートル四方 |
| アライグマ | 約8センチメートル四方 |
| タヌキ | 約10センチメートル四方以上 |
主な侵入経路は、床下の基礎の通気口、屋根と外壁が接する部分(軒下や軒天の隙間、剥がれ)、換気口の羽根板(ガラリ)の破損部、配管やエアコンの配管が外壁を貫通する部分の隙間、そして戸袋の奥です。
なお、八千代市が箱わなを設置して捕獲する対象はアライグマとハクビシンです。イタチ、タヌキ、コウモリについては、まず環境政策課(047-421-6765)へご相談のうえ、県の許可が必要な場合は葛南地域振興事務所(047-424-8092)でご確認ください。コウモリは追い出したあとの封鎖が特に重要で、隙間が1〜2センチメートルあれば戻ってきます。
ネズミは1.5センチメートル、1円玉が通る程度の隙間があれば入ります。 「こんな小さな穴から」と思う大きさでも、頭が通れば体は通ります。
蜂の巣駆除と市の補助金に関して詳しく解説した記事はこちらです。
【八千代市の蜂の巣駆除】市役所の補助金の落とし穴と悪質業者の罠!騙されない業者の選び方
超音波と光は、効きません
害獣対策の商品として、超音波装置や強い光を出す装置が売られています。これらの効果について、実証の結果をお伝えします。
日本家畜管理学会および応用動物行動学会が発表した研究と実証実験では、ハクビシンに対してさまざまな周波数(20キロヘルツから50キロヘルツ)の超音波を照射しました。結果はこうでした。
ハクビシンは耳を動かして音源を見るなどの反応を示しました。つまり、その音は聞こえていました。しかし、不快がってその場から逃げる、忌避行動をとるという結果は得られませんでした。
光の照射実験でも同様です。ハクビシンは光を嫌がって逃げることはなく、逆に光源に興味を示して近づき、探査する個体すらいたと報告されています。
農業分野では、特定の集束超音波が一部の微小な害虫に対して効果を持つことが実証されています。しかしハクビシンやアライグマのような認知能力の高い哺乳類に対して、超音波機器だけで家屋から完全に追い出し、長期にわたって寄せ付けない効果があるという科学的な裏づけは存在しません。
では何が効くのか。においです。 哺乳類は嗅覚が鋭敏なので、トウガラシ(カプサイシン)やワサビの強烈な刺激臭、木酢液(山火事の煙を連想させるにおい)、天敵である狼の尿などを利用した忌避剤には、一定の一時的な追い出し効果が認められています。
ただし「一時的」という言葉に注意してください。においに慣れるか、換気で消えれば、強い帰巣本能によって元のねぐらへ戻ってきます。
追い出す時期を間違えると、被害が何倍にもなります
ここは、失敗すると被害が何倍にもなる注意点です。
動物の繁殖期・子育て期間に、物理的な追い出しや侵入口の封鎖を強行することは厳禁です。
繁殖と出産の時期を整理します。
| 動物 | 繁殖期 | 出産・子育て期 |
|---|---|---|
| アライグマ | 1月〜3月 | 4月〜6月 |
| ハクビシン | 通年の傾向 | 特に3月〜12月が活発 |
| イタチ | 主に春 | 春 |
| アブラコウモリ | 夏に集中 | 夏(7月〜8月頃) |
この時期に忌避剤や燻煙剤を使うと、何が起きるか。
警戒心の強い親だけが驚いて外へ逃げ出し、まだ歩けない幼獣が天井裏の巣に取り残されます。 そのまま侵入口を封鎖すれば、幼獣は天井裏で餓死します。そして死骸から、強烈な腐敗臭と大量のハエとウジが発生します。
この二次被害の復旧には、死骸の捜索、汚染された建材の広範な撤去、高度な消臭・消毒作業が必要になります。通常の駆除費用をはるかに超える負担が発生します。 そして先ほどお伝えしたとおり、これは法律上「殺傷」にあたる可能性があります。
ですから、追い出しと封鎖の前には、ファイバースコープなどの機材で巣の中に幼獣がいないかを入念に確認する工程が必須です。 この確認を省く業者には、依頼しないでください。
では、いま何をすればよいのか
ここまでお読みになって、「繁殖期に動けないなら、春から冬まで待つしかないのか」と思われるかもしれません。進め方があります。
厳禁なのは、中を確認せずに塞ぐことです。逆に言えば、幼獣がいないことを確認できれば、時期を問わず封鎖できます。 そしてその確認は、追い出しと封鎖を行う業者の工程に含まれます。
ですから、いまやっていただきたいのは次の2つです。
1. 屋根にかかった庭木の剪定。これは動物の在・不在にかかわらず、いつでもできます
2. 状況の確認を依頼する。何がいるのか、幼獣がいるのか、侵入口はどこか。ここが分かって初めて、封鎖の時期が決まります
待つべきなのは封鎖の作業だけです。確認と庭木の手入れは、今日からできます。
燻煙剤と、天井を叩くこと
ご自身で試される前に、知っておいていただきたい注意点があります。
市販の燻煙殺虫剤を屋根裏で焚くと、煙と刺激臭を嫌がった動物が一時的に外へ逃げ出すことは事実です。ただし、次のリスクが伴います。
- 煙が階下の居住空間に漏れ、火災報知器が誤作動する
- 乳幼児やペットが、化学物質を含む煙を吸い込む
- 煙に驚いた動物がパニックを起こし、壁の隙間を通って1階の生活空間へ逃げ込んでくる
3つ目は、実際に起きています。使用前の密閉と養生が欠かせません。
そして、天井を長い棒で叩いて音を出す、暗い屋根裏の点検口を不用意に覗き込む。この2つは避けてください。 動物を極度に興奮させ、居住空間の側へ逃げ込ませることになります。さらに、追い詰められたアライグマなどに顔面を咬まれる危険があります。
本当の工事は、追い出したあとから始まります
さて、ここからが本題です。
多くの記事は「どう追い出すか」で終わります。しかし住まいから見れば、追い出しは工程の入口です。 残っているのは3つです。侵入口の封鎖、糞尿の清掃と消毒、そして断熱材と天井材の復旧です。あわせて、再び入られないための予防(庭木の剪定)もここで扱います。
封鎖は、建築の工事です
ガムテープ、段ボール、簡易な発泡ウレタンフォームだけを使った封鎖は、動物の強力な前歯と鋭い爪によって数日で破壊されます。
侵入を恒久的に防ぐには、次の施工が必要です。
- 防錆処理を施した強度の高いパンチングメタル(金属の穴あき板)、またはステンレス製の亀甲金網を使う
- それを木部の下地に、ビスや大型のホチキス(タッカー)で強固に固定する
- さらにシーリング材(隙間を埋める充填材)やモルタルで、隙間を完全に埋める
つまり、封鎖は駆除作業ではなく建築の工事です。ここが、駆除業者の得意分野と外れる部分でもあります。
庭木を切ると、登り口をひとつ減らせます
もう1つ、意外に思われるかもしれない対策をお伝えします。
ハクビシンやアライグマは、木登りと綱渡りが非常に得意です。雨どいや電線を伝って屋根に登ります。 そして、家屋の屋根に向かって伸び、枝がかぶさっている庭木は、動物にとって絶好の「侵入のための橋」になります。
対策は明確です。庭木を定期的に剪定し、枝先を家屋の外壁や屋根から少なくとも1メートル以上離してください。 費用をかけずにできる予防としては、効果の大きい部類に入ります。
そして、これは私たちがお引き受けできる作業です。 庭木の剪定と伐採はメニューとしてお受けしていますので、屋根にかかった枝を落として、登り口をひとつ減らせます。
ただし、雨どいや電線という経路は残ります。枝を落とすことは有効な一手ですが、それだけで屋根に上がれなくなるわけではありません。 最終的には、次にご説明する侵入口の封鎖が必要になります。
糞尿の清掃には、防護具が必要です
清掃の話に移ります。ここを軽く見ると、健康を損ないます。
乾燥した糞尿や巣材には、病原菌、寄生虫の卵、各種のダニが大量に含まれています。素手で触れることも、掃除機などで巻き上げられた粉塵を吸い込むことも、絶対に避けてください。
清掃作業には、次の装備が必須です。
- 全身を隙間なく覆う使い捨ての防護服
- N95規格以上の高性能防塵マスク
- 防護ゴーグル
- 厚手のゴム手袋、または使い捨てのニトリル手袋
アライグマ回虫には、消毒液が効きません
とりわけ重要な事実をお伝えします。
アライグマの腸内に寄生するアライグマ回虫の卵は、糞便とともに大量に環境中へ排泄されます。感染経路は、糞便で汚染された土壌や建材から、何らかの形で人の口に入る経口感染のみです。
人が誤って卵を摂取すると、体内で幼虫が孵化し、血液に乗って脳や眼、内臓の組織を無差別に移動して破壊する「幼虫移行症」を起こします。とりわけ中枢神経系に侵入した場合、重篤な脳障害を引き起こし、致死的な結果を招きます。 国立感染症研究所や厚生労働省が、強く警鐘を鳴らしている感染症です。
そして、対処法に決定的な特徴があります。
一般的な細菌(サルモネラ菌など)には、次亜塩素酸ナトリウム溶液やアルコール消毒液で十分な効果があります。しかし、アライグマ回虫の卵に対しては、アルコールも一般的な塩素系洗剤も、ほとんど効果がありません。
国立感染症研究所の専門家によれば、強靭な殻を持つこの卵を完全に死滅させる唯一の手段は、物理的な「高温処理」です。汚染された場所や、清掃に使った道具には、熱湯をかける、ガスバーナーで焼く、煮沸するといった処理を施す必要があります。
市販の消毒スプレーを撒いて終わり、という清掃では意味をなさないということです。
そのほか、汚染された建材や粉塵を介して、レプトスピラ症(発熱と黄疸、重症化すると多臓器不全)やサルモネラ感染症(激しい食中毒症状)が媒介されるリスクがあります。動物の体表に寄生していたイエダニ、ヒゼンダニ、マダニが天井裏で大量に繁殖し、天井の隙間から室内へ落ちてくる被害も頻発します。マダニは重症熱性血小板減少症候群(SFTS)などの重篤な感染症を媒介します。
断熱材と天井材は、どこまで交換が必要か
清掃が終わっても、工程はもう一段残っています。
断熱材
屋根裏のグラスウールなどの断熱材に糞尿が染み込んだ場合、あるいは動物が巣材として引き裂いて踏み固めた場合、素材の中に空気の層を保てなくなるため、断熱効果は完全に失われています。
さらに、繊維の奥深くにダニや寄生虫の卵が入り込んでいます。表面の清掃や消毒薬の散布だけでは、衛生環境を取り戻せません。
汚染・破損した断熱材は、再利用を考えず全量を撤去・廃棄し、周囲の木部を消毒・乾燥させたうえで、新しい断熱材を敷き直す必要があります。
天井材
居住空間の天井板に茶色いシミが現れ、室内まで強い獣臭やアンモニア臭が漂っている場合、尿が石膏ボードの芯材まで完全に浸透している証拠です。
一度ボードの内部に染み込んだ臭いとシミは、表面の壁紙を張り替えるだけでは消えません。 クロスが浮き、ボードが水分でたわんで強度が落ちている場合は、天井が抜ける危険があります。この段階では、天井材そのものを切り取って、下地から張り替える大工工事が必要です。
実際に、「ためふん」によって天井裏の一角に数十キログラムに及ぶ排泄物が蓄積することがあります。 大量の尿が断熱材に染み込み、下地の天井板を腐食させ、最終的には排泄物の重みと建材の腐食によって天井が居住空間へ崩落する事故に至ることがあります。
配線が齧られると、火災につながります
ネズミには、一生伸び続ける前歯を適切な長さに保つため、硬いものを恒常的に齧る習性があります。天井裏の電気配線の絶縁被覆を齧り取られ、銅線がむき出しになると、そこからショートや漏電が発生します。
千葉県内の件数は公表されていませんが、東京都保健医療局の資料や東京消防庁の発表によれば、東京消防庁の管轄区域でネズミが原因の火災が、年間平均で12件から20件程度発生しています。
天井裏の音を「そのうち出ていくだろう」と放置することは、火災のリスクを抱え続けることでもあります。
費用は、気づくのが遅れるほど跳ね上がります
金額の話をします。この分野の費用は、被害の進行度合いによって桁が変わります。
| 段階 | 必要な作業 | 費用の目安 |
|---|---|---|
| 初期(侵入直後) | 追い出しと、限定的な侵入口の封鎖 | 3万円〜10万円程度 |
| 長期定着後 | 広範囲の糞尿清掃、特殊な薬剤による消毒・消臭、汚染された断熱材の全撤去と再敷設、腐った天井材の張り替え、足場を組んでの高所を含む封鎖工事 | 数十万円から。170万円を超えた実例も報告されている |
差を生んでいるのは、技術ではなく気づいた時期です。
火災保険は、原則として使えません
「害獣の被害は火災保険で直せますよ」という説明を受けることがあります。ここも正確にお伝えします。
国内の多くの損害保険会社の火災保険の約款には、免責事項として「ねずみ食い、虫食い等に起因する損害」あるいは「鳥獣・昆虫等の害による損害」が明確に記載されています。
火災保険は、原則として「不測かつ突発的な事故」を補償の対象としています。時間をかけて徐々に進行する害獣の侵入、齧り、糞尿による汚損は、建物の経年劣化や日常的な管理不足の延長線上にあるとみなされます。 ですから、駆除業者への依頼費用も、糞尿汚損に伴う清掃・断熱材交換費用も、原則として対象外です。
ただし、例外に近い場合があります。ネズミが配線を齧ったこと自体の修理費用は免責となりますが、その配線から漏電して実際に火災が発生し、建物が燃えた場合、その「火災による損害」については保険金が支払われる可能性があります。 出火原因が何であれ、火災という突発的な重大事故が発生したと認定されるためです。
そのほか、台風の強風で屋根や外壁が破損し、その直後に空いた穴から害獣が侵入したなど、自然災害との直接の因果関係が証明できる特殊なケースや、「破損・汚損特約」の内容によっては一部適用される余地があります。ただし実務上は極めて限定的です。
そして、この判断をするのは保険会社です。私たちのような修理を請け負う立場の者に、保険が下りるかどうかを決める権限はありません。 「保険が使えます」と断言する業者には、ご注意ください。
空き家と、使っていない2階が狙われます
野生動物は警戒心が非常に強く、人の生活音、足音の振動、照明の光、においの変化を嫌います。
裏を返すと、日常的に人の出入りがない空き家や、高齢のご世帯で物置状態になっている2階は、動物にとって外敵に脅かされない、安全で静かで、風雨をしのげる理想的な住まいになります。
しかも、こうした場所では、夜間の微かな足音や初期の異臭に気づく人がいません。発見が遅れるほど、動物は安全な天井裏で数世代にわたって繁殖します。
実務では、次のような形で発覚します。遠方のご家族が数か月ぶりに帰省したとき。あるいは、近隣の方から悪臭についてご連絡をいただいたとき。そのときには既に天井が腐り落ち、柱や梁といった構造材まで汚染が及んでいることがあります。
ネズミの場合はさらに速く進みます。1匹見つけた時点で壁の中に複数匹が潜んでおり、駆除業者の報告では、放置すれば数か月で50匹から100匹へ増えることがあるとされています。
遠方のご家族が、帰省時に確認できるサイン
年に数回しかご実家へ行けない場合、次の3つをご覧ください。5分で終わります。
1つ目は、外周です。
- 基礎の通気口の金網が破られていないか
- 屋根に向かって伸びている庭木の枝はないか
- 外壁の隅、室外機の裏、雨どいの付近に、黒いこすれ跡(泥や体の脂が付いたもの)や糞が落ちていないか
2つ目は、室内です。
- 普段使っていない2階の部屋や押し入れの天井に、見慣れない茶色い円状のシミが出ていないか
3つ目は、においです。
- 玄関を開けた瞬間に、カビとは違う、ツンとするアンモニア臭や、脂っぽい獣臭を感じないか
3つ目が、いちばん早く気づけるサインです。「なんとなく変な臭いがする」という感覚を、無視しないでください。
空き家の管理に関して詳しく解説した記事はこちらです。
八千代市の空き家管理|換気不足が招く固定資産税6倍のリスクと対策
私たちにできること、できないこと
ここで、私たちの立ち位置を正直に申し上げます。
捕獲は、狩猟免許と有害鳥獣捕獲の許可が必要な作業です。私たちが行うことはできません。 捕獲をご希望の場合は、八千代市の環境政策課(047-421-6765)へご相談いただくか、千葉県葛南地域振興事務所(047-424-8092)で許可の手続きをご確認ください。
一方で、追い出したあとの工程は、私たちの領域です。
- 屋根にかかった庭木の剪定・伐採(侵入経路を断つ)
- 侵入口の封鎖(金網やパンチングメタルを下地に固定し、シーリングで充填する建築的な施工)
- 汚染された断熱材の撤去
- 腐った天井材の張り替え
- 天井裏の片付けと、周辺の清掃
これらは、駆除業者の得意分野から少し外れる部分でもあります。捕獲は捕獲の専門家へ、建物の復旧は建物を直す者へ。 この切り分けが、いちばん確実で、結果的に費用も抑えられます。
なお、住まいの作業には法令で有資格者に限られるものが数多くあります。資格が必要な作業は、有資格の職人が担当します。 できることとできないことを、現地を拝見したうえで正直にお伝えします。入口をひとつにできること。 そこが私たちの役割です。
こういう場合は、まだ慌てなくて大丈夫です
音がしたからといって、すべてが緊急事態というわけでもありません。
- 音が「カリカリ」「カサカサ」と軽く、天井板がきしむ重さがない
- 天井にシミが出ていない
- 室内にアンモニア臭や獣臭を感じない
- 屋外の基礎の通気口や軒下に、破られた跡や獣道が見当たらない
この4つが当てはまる場合、天井裏に大型の動物が定着している可能性は低いと考えられます。この状態を保つために、家の外周の隙間を塞いでおいてください。 ネズミであれば1.5センチメートル、ハクビシンであれば6〜7センチメートルの隙間が入口になります。
逆に、重い足音がする、天井にシミが出ている、臭いを感じる、外周に破られた跡やこすれ跡がある。この4つのどれかが出ていれば、既に定着していると考えて動いてください。先ほどお伝えしたとおり、費用が桁で変わるのは、この段階を過ぎたあとです。
よくあるご質問
天井裏の音は、ネズミですか、ハクビシンですか
音の重さで見分けられます。 「カリカリ」「カサカサ」と軽い音が続くならネズミ類、「ドスドス」「ドタドタ」と天井板がきしむ重い音ならハクビシンやアライグマです。確実なのは糞を見ることで、ハクビシンの糞には果実の種子が含まれていることが多く、ネズミの糞は米粒から1センチメートル程度で通り道に点々と落ちています。
自分で捕まえて逃がしてはいけませんか
ネズミ類を除いて、いけません。 鳥獣保護管理法第8条により、許可のない捕獲は1年以下の拘禁刑または100万円以下の罰金の対象です。環境衛生に支障を及ぼす一部のネズミ類は対象外ですので、ネズミ捕りや粘着シートの使用は問題ありません。ハクビシン、アライグマ、イタチ、タヌキ、コウモリは対象です。アライグマは特定外来生物ですので、生きたまま運ぶことも、別の場所へ放すことも違法であり、最大で3年以下の拘禁刑または300万円以下の罰金が科されます。捕獲をお考えの場合は、八千代市の環境政策課、または千葉県葛南地域振興事務所へご相談ください。
超音波の装置を買えば追い出せますか
実証実験では、効果が確認されていません。 日本家畜管理学会と応用動物行動学会の実験で、ハクビシンは超音波を聞き取ってはいたものの、逃げる行動をとりませんでした。光についても、嫌がるどころか興味を示して近づいた個体がいたと報告されています。においを使った忌避剤には一時的な効果がありますが、慣れれば戻ってきます。確実なのは、物理的に入れなくすることです。
侵入口を塞げば、それで終わりですか
塞いだあとに、清掃と復旧が残ります。 糞尿の清掃と消毒、汚染された断熱材の撤去と再敷設、腐った天井材の張り替え。ここまでやって、はじめて元の住まいに戻ります。
そして塞ぐ前にも工程があります。中に残っていないかの確認が必須です。 幼獣が取り残されたまま封鎖すると、天井裏で餓死し、腐敗臭と大量のハエ・ウジが発生します。復旧費用は通常の駆除費用をはるかに超えます。さらに、閉じ込めて死なせる行為は法律上「殺傷」にあたる可能性があります。ファイバースコープなどで巣の中を確認する工程を、必ず入れてください。
糞の掃除は、自分でしてもいいですか
おすすめできません。 乾いた糞尿には病原菌、寄生虫の卵、ダニが大量に含まれています。掃除機で巻き上げた粉塵は、鼻や口の周りに付着し、そこから口に入ります。アライグマ回虫は経口感染ですが、粉塵を吸い込む状況は、そのまま口に入る状況でもあります。 そしてこの卵は、アルコールや塩素系の消毒薬がほとんど効かず、熱湯やバーナーによる高温処理でしか死滅しません。 どうしてもご自身で行う場合は、使い捨ての防護服、N95規格以上の防塵マスク、ゴーグル、厚手の手袋を必ず着用してください。
空き家の実家が心配です。何を見ればいいですか
帰省されたときに、3つご確認ください。外周では、基礎の通気口の金網が破られていないか、屋根にかかった庭木の枝がないか、外壁や雨どい付近に黒いこすれ跡や糞がないか。室内では、使っていない部屋の天井に茶色いシミが出ていないか。そして玄関を開けた瞬間のにおいです。 カビとは違うツンとしたアンモニア臭を感じたら、既に住み着かれています。定期的な点検をご依頼いただくこともできます。
まとめ:追い出したあとを、誰がやるかを決めてください
この記事の要点を整理します。
- 許可のない捕獲は鳥獣保護管理法違反で、1年以下の拘禁刑または100万円以下の罰金の対象になる(一部のネズミ類は対象外)
- アライグマは特定外来生物であり、運搬や放獣も違法。最大で3年以下の拘禁刑または300万円以下の罰金
- 「追い出す」行為に許可は要らないが、閉じ込めて死なせれば「殺傷」にあたる可能性がある
- 八千代市では、市が箱わなを設置して捕獲する。窓口は環境政策課 環境共生班(047-421-6765)
- 超音波と光には、ハクビシンへの忌避効果が実証されていない
- 繁殖期の封鎖は、幼獣を取り残して腐敗という二次被害を招く
- ガムテープや段ボールの封鎖は数日で破られる。金網とシーリングによる建築的な施工が要る
- 屋根にかかった庭木を剪定し、枝先を1メートル以上離すと、登り口をひとつ減らせる
- アライグマ回虫の卵に、アルコールや塩素系の消毒薬は効かない。高温処理のみが有効
- 費用は初期の3万〜10万円から、長期定着後は170万円を超えた例もある
- 害獣被害は火災保険の免責事由にあたり、原則として補償の対象外
天井裏の問題が片づくのは、動物を外に出したあとです。 塞ぎ、清め、傷んだところを直して、はじめて元の住まいに戻ります。そして費用を決めているのは、気づいてから動くまでの時間です。
おうちの御用聞き 家工房 八千代緑が丘店では、屋根にかかった庭木の剪定・伐採、侵入口の封鎖、汚染された断熱材の撤去、天井材の張り替え、天井裏の片付けまでをお引き受けしています。捕獲が必要な場合は、市や県の窓口をご案内します。料金は一律の目安ではなく、現地を拝見したうえでのお見積もりを徹底しております。
「音がするだけなのですが」というご相談で構いません。早い段階でお声がけいただくほうが、結果的に安く済みます。
フリーダイヤル 0120-197-899、電話一本で八千代市内へ駆けつけます。
お電話でのご相談のほか、インターネットからのお問い合わせは24時間受け付けております。お急ぎでない方はこちらもご活用ください。
お問い合わせフォーム:https://iekobo-yachiyomidorigaoka.com/info/